映画「ピンクとグレー」を見てきたよ(ネタバレは宣伝レベルまで)
加藤シゲアキ原作の「ピンクとグレー」は、普通の小説とはちょっと違う。
普通の小説の場合、読者であるわたしたちは作者のことをほとんど知らない。
でも、わたしたちはシゲのことをけっこう知ってる。アイドル。渋谷の学校に行ってた。趣味は釣り。お料理も結構上手。NEWSが6人から4人になったとき「いちごのないショートケーキ」とか言われてショックを受けてた。とかとか。(すっごい雑な知識だなw)
だからなんか雑念が入ってしまって、うまく感想が言えないよね、っていう小説だと思う。「りばちゃん」と「ごっち」、モデルは誰なんだろう?とかさ。
文章はとても読みづらい。処女作っぽい。でも構成をよく練っている。わたしはジョン・アーヴィングの小説が好きなんだけど、彼の小説にたしか「おもしろい小説っていうのはつづきが気になる小説のことだよ」っていうフレーズがある。(なかったらごめん)「続きが気になる」小説ではあったので、それなりに面白かったなと思う。処女作なんてたいていつまらないものだから、気になった人はぜひ手に取ってみてほしいな。
さて、映画の話。公開初日に行ってきました。
(画面ショットキレイに取れなかったごめん)
小説が「それなり」だったので、正直期待してなかった。
でもすごく面白かったし、もう一回なんとか劇場で見たいと思っている。
宣伝でもかなり言っているのでここはネタバレではないと思って書くけど、小説では登場人物のうちの一人が突然死んでしまう。原作ではかなり衝撃的だった。甘酸っぱい青春小説なのかな~と思って読んでいたら、突然1人死んでしまうって!!それまで半分寝ながら読んでたんだけど、一気に目覚めた。ここの構成はうまいな~思う。
それだけに、宣伝の段階で1人死んでしまうことをバラしていて、この映画ほんとにおもしろく見れるの?ってのが心配していたところ。でも、わかっててもほんとにおもしろく見れた。以下みどころ。
中島裕翔くんと菅田将暉くんの青春部分がさわやか
自転車にのって登校したり、女の子からチョコをもらったり、夕日が差し込む部屋でくだらない話をしたり。わたしは部活三昧だったので実際にそんな高校生活は送ってないけど、さわやかで美しいシーンが多くてキラキラしてる。何度でも見たい。
渋谷時代
未来のイメージがうまくできなくて悶々とするりばちゃん(菅田くん)と、どんどん前へ進んでいくごっち(中島くん)。2人の溝が開いていく中で、幼馴染のサリー(夏帆)も現れてもうヒュ~~~!!!ってかんじ!このへんの、光の当たる部分に立ちながらもさみしさをみせる中島くんの演技はほんとよかった。さすが現役アイドルだなぁって思った。アイドルが演じるアイドル!!たまらん~~~!! 菅田くん演じる「りばちゃん」についてはもうわかりすぎてわかりすぎて。置いて行かれる、前に進めない、なのに頑張れない頑張りかたがわからない!!!そういうことあるよね?そんなことばっかりだよね? 若いのになんて表現力なのか。
62分後の後
見ていたとき、後ろの女の子たちが声に出して「え?どういうこと??ぜんぜん意味が分からない!!」と言ってたけど(上映中は静かにしてほしいけど~)、ネタバレを避けていたこともあってほんとに意味が分からなかった。演技力の問題大きい。こっからは何を言ってもネタバレになってしまうので何も書かないけど、このあとからが狂気だし、菅田くんがキャスティングされた意味がわかったすばらしかった。
まとめ
2時間ちょっとかな。菅田くんと柳楽優弥くんという若手狂気俳優(勝手に呼んでる)だけでも見る価値がある。それから中島くんの美しさ。端正な顔立ちでスラリとした立ち姿。彼がちょっとずつ「向こう側の人」になっていく様は特別彼のファンじゃなくても気持ちがギュッとなると思う。
最後に、昨年のMyojo7月号に掲載されたシゲの1万字インタビューを載せとく。
加藤シゲアキくんが「ピンクとグレー」を書いた理由。書いたときの気持ち。そして2015年の気持ち。
だから、大きなスクリーンで上映された「ピンクとグレー」を見て、わりとずっと涙がでてた。原作者の気持ちなんていつもは気にしたりしないけど、こんなに切実な気持ちで書かれた小説が、たくさんの人に大切にされて、形になってよかったね。 行定勲監督、すてきな映画を作ってくれてどうもありがとうございます。
もし僕が小説を書け上げたら、グループの未来を変えられるとも思ってた。おこがましいけど。たしかにグループのパズルがちょっとずつズレていってしまってたんです。でも、僕が本を出版できれば”このグループにいたらもっともっとおもしろいことが起こるかもしれない”って思ってもらえるんじゃないかって。だけど、作業が進行中に、メンバーが抜けていく決定的な話し合いがあって……。結局、僕は6人のためには何にもできなかった。行動に移すのが遅かったのかなって、それは今も後悔してるかな。(Myojo2015年7月号)
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